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私の両側から手を伸ばしてお腹を触る子供たち。
その小さな手を感じたように、ちょうど赤ちゃんが動いた。
「あ!ぴくってしたよ」
と嬉しそうに言う大樹に「したね」と答えると
「どこどこ?あ、ほんとだー」
「どれどれ?おお、元気だな」
慶ちゃんまで一緒になって私のお腹を触っている。
「もう仰向けで寝るのが苦しいよ」
「美桜、足の具合はどう?」
今度は左足を固めている白いギブスを見ながら慶ちゃんが言った。
「大分いいみたい。リハビリも順調だって」
「もうすぐ退院?」
「うん、そうみたい。ご家族に電話しますって言ってたけど、来てない?」
「あぁ、そういえば留守電入ってたかも。後で聞いておくよ」
私達の会話を聞いていた優芽が
「ママ、退院?おうち帰ってくるの?」
「うん。もう少ししたらね。やっとだよ。早く帰りたい」
「ママ、赤ちゃんも一緒?」
「大樹、赤ちゃんはまだ生まれないよ。予定日は十月だからね」
「なんで?もうこんなに大きいのに」
「まだまだ大きくなるぞ。大樹が生まれた時はこんなもんじゃなかったからな」
「ふーん、早く生まれないかなぁ」
「大樹は本当に赤ちゃんが楽しみなんだね」
「うん!」
この分なら生まれても心配なさそうだと安心した。
赤ちゃんが生まれると兄弟間で愛情の取り合いになって、やきもち焼いたり赤ちゃん返りをしたりするというので少し心配していたんだけど。
大樹が生まれた時は優芽は四歳で、やっぱり少し過剰に抱っこをせがんだりすることはあったものの、あまり大変だった覚えも無かった。
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