1 夢ならば

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「美桜!大丈夫か、美桜!」 「ママ、ママ目を開けて」 「ママ、お願い。ママが死んだら赤ちゃんも死んじゃうよー」 ふいに聞こえてきた、私を呼ぶ家族の声…。 一体何が起こったの? 狭い何かに体を挟まれている感触だけはわかったけれど、何一つ動かすことができない体と、息が苦しくて声も出せない私は何も答えられないまま、また意識が遠のいて行くのを感じていた。 折り重なるように私の腕の中にいる小さな息子を感じながら、全ては暗闇へ堕ちて行った。 それからどのくらいの時間がたったのだろう。 真っ暗闇の中から、自然に覚醒する意識。 目を開けたいのに瞼が重くて開けられない。 代わりに体を動かそうとしても、全身が痛くてどこも動かすことができなかった。 自分がどこかに寝かされていることはわかった。 「…ううっ」 「美桜っ」 慶ちゃんの声が聞こえた。 私はどうしちゃったんだろう。 目は開けられないまま、声を振り絞った。 「けい、ちゃん」 「美桜、気が付いたんだな」 「なに、なにがあったの」 「事故だよ。対向車が突っ込んできて、ハンドル切ったけど避けられなかった」 「けい…ちゃん、顔見えない」 「シートで顔面を打って、かなり腫れてる。無理するな」 「みんな、は?」 「うん。ここにいるよ」 「ママ!優芽はここだよ」 「大樹もここにいるよ」 子供たちの声にほっとして涙がこぼれた。 最後に聞くのが一番怖かったことを、思い切って聞いた。
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