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7.弱腰勇者は1ポイントのダメージを受けた
宿屋でぼーっとしていた弱腰勇者は、ある日、無鉄砲勇者のハイテンションに引きずられて街へ出ることになってしまった。
嫌々引きずられたという訳ではなかったんだけど、結果から言うと騙されたに近い。
無鉄砲勇者はやることなすこと無鉄砲過ぎる。それでも、弱腰勇者は彼が憎めない訳だけど。
こんなことされても憎めないとか言えるのは相当変わってると別の仲間には苦笑された。
でも。
弱腰勇者は、そのクエストで確実に自分の殻を1つ破った。その自覚があるから、今はむしろ感謝しているかも。ほんのちょっとだけど。
(…慣れないことをしてしまった。ゲーム好きの皆様、不快に思われたら申し訳ない。俺はドラゴンクエストやファイナルファンタジーすらやったことのないRPG素人だ。)
ワタル(仮名)の数多い女性リストの中には、ワタル(仮名)と志(?)が似ている人というのがたまにいる。
付き合う(?)までは普通に話していたんだけど、付き合い出したら途端にゲームモードに入っちゃったんだよね、とはワタル(仮名)の談。甘いカップル演じるより、いかに駆け引きするかで楽しんじゃった、らしい。
もちろんそうしようと話し合った訳じゃない。「だからこそ楽しかった」そうですが。
彼女について話す時だけは、過去付き合った相手ではなく最強の好敵手と表現する。目をキラキラさせるワタル(仮名)を見て複雑な心境に陥ってしまった。
その「最強の好敵手」の名前がサトコ(仮名)さんであることを知った時には、俺はもうサトコ(仮名)さんと会った後だった。いやこんな時は「遭った」の字を当てたい気分だ。事故だ。天災だ。いえ嘘です。仕組まれました。
隣に立つ仲間だと思ってた無鉄砲勇者が実はラスボスでしたみたいな。そんな感じでしょうか。間違ってたらごめんなさい。
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