no_sex_is_life

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 意味をつかんでない俺の沈黙にくすくす笑いながらサトコ(仮名)さんが話してくれたのは、彼女が俺に一目惚れという展開よりよほど納得出来るものだった。  サトコ(仮名)さんは賭けをしていたのだ、ワタル(仮名)と。  ワタル(仮名)は、サトコ(仮名)さんには俺は落とせませんに1票。サトコ(仮名)さんは落として見せますよに1票。10日間の間に「お知り合い」が「お付き合い」になったらサトコ(仮名)さん勝利。 「…それちょっとサトコ(仮名)さんには条件きつくないですか? 俺のこと何処まで聞いてます?」 「ほぼ聞いてる、かな。じゃなかったらゲイですかなんて確認しないし。最初聞いた時は単にゲイなのかなと思ったんだよね。ワタル(仮名)はその可能性を全然考えてなさそうだったけど」  そうか。普通は尋ねないかゲイだなんて。 「だから勝ちを確信出来たとも言えるんだけど。演じて貰えば済む話だし。乗る気ない? ミツル(仮名)さんにとっては、私との関係に悩むよりその方が楽でしょ? 絶対」  楽しそうに笑う彼女を見て、ああそう言えば例の好敵手の名前もサトコ(仮名)さんだ、というか多分同一人物だ、と悟った時には後の祭。  彼女はお金にはこだわってない。最高の好敵手は、同じく最高の好敵手を負かせる勝負を探していた。ただそれだけなのだそうだ。     
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