no_sex_is_life

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26.カミングアウト  どう考えてもツトム(仮名)に丸め込まれたとしか思えないわけですが。  それでもまあ、とりあえずそういうことになっちゃったわけです。  本当にどうしてくれよう。全く。未だにこの時のことをこうやって思い出そうとすると、  ……ええと。色々前置きを書いてしまうと、本題に突入出来ない予感がするので、ばっさりと覚悟を決めます。  ワタル(仮名)に対して俺は、友達でいる時からあんまり自分の性癖を隠したことがなかった。同類だと思ってたし。でもワタル(仮名)の方は、何処までカミングアウトしていいのか相当に迷っていたらしい。  そのうちの1つはもちろん、ツトム(仮名)経由で知った通り、あれだけやたらにカノジョは多かったのに実は童貞という事実ですが、それ以外にも色々と思うところや考えていたことがあったようで。  どうも、ワタル(仮名)が付き合ってみようかとか言い出した背景は、恋愛的な意味で好きになったという意味は微塵もなく(これは俺もツトム(仮名)もそう思っていたことで予想通りですが)、そんな風に思い切ってみたかった、ということらしい。  なんていうかその。心情的な一線を超えてみたかった、というか。  それで以降、ワタル(仮名)とは恋愛論とかセックス論(?)とか、ものすごくディープな話題をやたらと話すことになる。  とはいえ、ハナから恋愛とかセックスとか精神的に門外漢な2人なので、ディープの方向がまるっきり一般的な意味とは違うんだけど。  でも俺にとっては(そしてワタル(仮名)にとっても)、確実に色んなことが変われた日々だったかな、と。後から考えたら。  だから意味はあった。当初の目的である「地球の半分対象外」作戦は完全に失敗で、結局自分が同性愛者かも知れない可能性は潰せなかったんだけど。
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