no_sex_is_life

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36.彼について知らないこと  相変わらず一緒の会社で働いてた俺とツトム(仮名)は、一緒に昼を食べに出ることも多かった。  女性たちほどではなくても、同じ店ばっかり行ってると飽きるからあちこち食べ歩いていたわけですが、そんな時にツトム(仮名)の知り合いと時々会ったりすることがあった。主にジム仲間だけど。  おたく仲間(?)の方は主にネット上に仲間が多いけど、ジムは会社の近所だったし、そこに通っている人となれば当然似たように地域に勤めている人もいるわけで、きっちり定期的に通っているツトム(仮名)とはよく会う顔見知りになってもおかしくない。で、昼時に定食屋さんで鉢合わせするなんてことは、ごくごく想定範囲だ。  ──だと思うんだけど。  ツトム(仮名)はそんな時、表向きは愛想よく挨拶する。また昼休みなんて何処もそんなに余裕はないから、あこんにちは、それじゃあ、くらいで会話は終わってしまうのが常だ。  でも、たかがそれだけでツトム(仮名)は時折妙に不機嫌になることがあった。  だからって俺に対して何かをぶつけて来る訳ではなくて、いつものようにクールな男ではあるんだけど。  まあ俺はジム行ってる訳じゃないし、それなりに何かしら確執があるのかなあとか、あまり深くは考えてはいなかった。  彼が、男であれ女であれ、個人的に誰かに対して好悪をあからさまにすること自体が珍しいから、引っかかってはいたけど。
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