no_sex_is_life

48/109
前へ
/110ページ
次へ
39.小さな誤解  毎日毎日ツトム(仮名)と一緒に昼を食べている訳ではない。特に仕事が忙しくなると、色々と用事が立て込んでいて正規の昼休み時間に外に出ることが出来ないなんてこともある。そんな時にはお互い1人で食べに出たり、弁当屋で買って来て会議室の一角でぼーっと食べてたりする。ちなみに、ツトム(仮名)も俺もお互いに、お互い以外の誰かと食べに行くという選択肢は不思議と選ぶ気にならないらしい。  社内では、俺は基本的にツトム(仮名)以外の人間相手だと積極的に雑談に乗るタイプではないので、他の人の話をぼんやり聞き流しながら携帯をいじったりしている。その当時は専ら、Aセクシャルサイト「pure」の掲示板を追いかけていることが多かった。  まあそんな時に例のツトム(仮名)のジム友達(?)と外で会って、お1人でしたらご一緒しましょうと誘われた。俺の方も多少なりとも彼に興味があったので、まあ昼食べるくらいならいいかと2人でファミレスに入った。  彼──マサヤ(仮名)さんはツトム(仮名)のことを尊敬しているらしい。ただ話を聞いていると、彼は見事なまでにツトム(仮名)の一面しか知らない。俺から見ると微笑ましいやら笑いたくなるやらで、表情を表に出さないでいるのが大変だった。  それと同時に、ツトム(仮名)の見事なステルスぶり(?)に感嘆したりもした。心の片隅に、ツトム(仮名)の別の友達(?)から見たら、俺もこんな風に「ツトム(仮名)のことなんか何も知らない同僚」に見えてたりするのかなあなんて、そんな可能性もちらっと考えたけど。  ただ、ジムでのツトム(仮名)の姿なんて俺はよく知らないので、彼の口から語られる(美化されているであろう)ツトム(仮名)像を聞くのは面白かった。  あんまり周りとコミュニケーション取らない寡黙な男で通しているらしいので、ますますミステリアス(?)でストイックなスポーツマンに見えちゃうのかも知れない。エロゲーおたくなのに。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加