no_sex_is_life

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4.恋とはどんなものかしら  で、3人組の残る1人である俺、ミツル(仮名)は、といえば。  恋愛感情というもの自体が、よく判らない。人を好きになったことがないのだ。  恋愛とは、何やらいいものであるらしいことは数々のフィクションから予想がつくんだけど、自分に引き寄せて想像することはまるで出来ない。  ちなみにセックスも同様。単に立たないだけならEDという病名つけてバイアグラでも使えばいいんだけど、立たないわけではないのがややこしい(と本人は思っている)。  露骨な書き方になってしまうことを許して貰いたい。射精は出来る。でも、どうしてそれを他人の体に向けで出さなきゃならないのか、どうしてそれが愛情表現とされるのか、それがよく判らないのだ。  ちなみに他人から自分に出されてみたいとも思ったこともない。そう思えるならゲイとカテゴライズして安心してられる。  俺の場合は、自分をどうカテゴライズしていいのか、まだ判らない。  ワタル(仮名)とツトム(仮名)はそんな俺については、度を越して淡白な男なのだ、という解釈をしてくれているらしい。まあ間違ってはいない。  自分で自分がめんどくさいなあと思うのは、それでも恋愛ってどんなものなんだろうという憧れめいたものは人一倍持っているのだ。  してみたいとは思う。自分の命や財産を相手のために投げ出すことすら厭わない情熱ってどんなものだろう、仕事が手につかないくらい1人の存在感に心が満たされるってどんな気持ちだろう。  興味がある。けど誰も俺が理解出来るようには説明してはくれない。世のフィクションはその感情を共有されるべき前提とされているのに、自分だけがそれを知らないのは、変だ、と思う。
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