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45.違和感の一致
恋愛そのものに興味はある。憧れもある。でも誰も好きになったことがない。恋愛感情とは何なのかがよく判らない。
恋愛的な意味ではないけど友情とも呼び切れない「好きな人」がいる。
性的なことは、無関心なので正直どうでもいい。ワタル(仮名)と話した時の言葉を借りれば「風俗に行けるタイプ」ということ。
ひょっとしたらゲイかも知れない。少なくとも異性よりは同性の方が抵抗がない。
──何だか凄く感覚が似てる感じがして、ちょっと嬉しかったです。別にこのメールでどうこうしたいという意図はないので、読み捨てておいて下さい。
俺はそんなことを書いて、alexと個人的なコンタクトを取ろうとしてみた。彼は掲示板に書き込む時に、フリーのものではあるけどメールアドレスを書いていたのだ。
正直、返事が返って来ることはまるで期待していなかったのだけれど、alexは丁寧な返信をくれた。
最後の1つを除いて、ほぼ一致するらしい。彼はまだ、相手の性別としてどっちが楽なのかもよく判らない、と書いていた。
「友情をほんの少し超えている気がする『好き』」の相手は男女ともにいるらしくて、それはちょっとだけ羨ましい。俺には男2人しかいないから、自然、判断材料がないだけなのかも知れない。
alexとは、それをきっかけにのんびりしたメル友になった。携帯のメールと言えば短文で短時間で返信をし合うのが普通なのかも知れないけれど、俺とalexは、携帯の割にはかなりの長文を、1日1~2通やり取りするペースだった。
それだけ、話したいことがあった、ということかも知れない。何せAセクシャルはAセクだというだけで、恋愛観を共有出来る相手に会うことは絶望的なのが常なのに、話せば話すほど感覚が近いと確認し合えるのだ。純粋に嬉しかったのだ。
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