母親は山ほどのケーキに困惑する

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 そう、俺はもしかして今日も? という思いから、みわ子からの連絡を受ける前に、講義をサボって揚げ物屋に行ってみたのだ。そして、当然のようにその瞬間に立ち会ってしまった。  満面の笑みで、みわ子に大きなケーキの箱を差し出しているおっさん。  年齢は五十代くらいだろうか。背の小さいみわ子よりも、ちょっとばかし大きいってくらい。たぶん、俺より小さい。その代わりに横幅がかなりしっかりついてるというか……うむ、恰幅がいい? とでも言えばいいか。着てるスーツとか、パリッとしてて、なんだか金持ちそうに見える。  同じおっさんでも、今では牛丼屋の常連になってるおっさんとは別の生き物に思える。むしろ、最近来ない宗さんに近いかもしれないが、宗さんはあんなギラギラしてない。  そもそも、こんなおっさんが惣菜屋の並ぶフロアにいること自体、物珍しいんじゃなかろうか。
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