最初の注文は牛丼の大盛でした

2/14
前へ
/310ページ
次へ
 牛丼屋の自動ドアが開くと、もうすでに耳慣れた少し甲高いピンポンという音とともに、夜の街の灯りと騒めきが流れ込んでくる。 「いらっしゃいませ~」  俺は自動ドアの方へと目を向ける。深夜というには少し早いこの時間帯は、残業上がりのサラリーマンか、これから出勤の飲み屋のお姉さんやお兄さんたちが多い。今も入って来たのは、常連の近所の小さなスナックに勤めるお姉さん二人だ。 「お疲れ~」 「はい、お茶どうぞ」 「ありがと、マサちゃん」  にこやかに笑った彼女たちは、店のカウンターにさっさと座る。派手な衣装に、少し濃い目の化粧をしている二人は、笑顔で俺が差し出した湯呑を受け取った。
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5261人が本棚に入れています
本棚に追加