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牛丼屋の自動ドアが開くと、もうすでに耳慣れた少し甲高いピンポンという音とともに、夜の街の灯りと騒めきが流れ込んでくる。
「いらっしゃいませ~」
俺は自動ドアの方へと目を向ける。深夜というには少し早いこの時間帯は、残業上がりのサラリーマンか、これから出勤の飲み屋のお姉さんやお兄さんたちが多い。今も入って来たのは、常連の近所の小さなスナックに勤めるお姉さん二人だ。
「お疲れ~」
「はい、お茶どうぞ」
「ありがと、マサちゃん」
にこやかに笑った彼女たちは、店のカウンターにさっさと座る。派手な衣装に、少し濃い目の化粧をしている二人は、笑顔で俺が差し出した湯呑を受け取った。
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