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「ごめんねぇ。ちょっとお客さんから貰い物しちゃって」
眉を八の字にして困った顔をしてるみわ子は、そう言ってササッと裏に引っ込んだ。
奥では調理してる人がいるのか、何やら話し声が聞こえてきたけど、すぐにみわ子がケーキが入るような箱を一つ手にして現れた。
「これ、常連さんが持ってきてくれたんだけど、生ものみたいで。ここに置いとくわけにもいかないから」
「え、これ、俺が持ってくの?」
これからバイトに行くというのに、こんなの持たされても、先に家に帰るみわ子が持って帰ればいいじゃん、と俺は思うわけで。
「バイト先の子たちと食べて……実は、もう一箱あるのよ……」
最後には口元に手を添え、声を小さくして困ったように言う。渡された箱は、ホールのケーキが入りそうなくらい大きい。手に持ってみると、けっこうずっしりだ。
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