母親は山ほどのケーキに困惑する

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 そしてうちの店の業務用冷蔵庫には、ケーキの箱が眠っている。今日はさすがに誰も手を出さない。もう店のごみ箱にでも捨てるしかないかな。正直、そう思ってた。 「マサくん、マサくん」  中で食器を洗っている俺に声をかけてきたのは、デレた顔の和田くんだった。 「何?」 「あのケーキさ、お姉さんたちにあげてもいいかな」  そう言ってカウンターの方に座っている常連のお姉さんたちが、にこやかに手を振っている。 「……いいけど、うちの店で出しちゃマズイだろ」 「わかってるよぉ。だから、お会計済んだら、持ち帰り用の入れ物にでも入れて渡すとかすればよくない?」 「……えぇぇ」  正直、持ち帰り用のケースって言われても、唐揚げとか入れるケースだと、ケーキが潰れちゃうんじゃないかって思う。
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