母親は山ほどのケーキに困惑する

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 仕方ないから、なんとか笑みを浮かべながらお姉さんたちのところへと向かう。 「マサくん、ケーキ食べたい~」 「いっぱいあるって和田っち言ってたんだけど」  期待した眼差しが辛い。特にぽっちゃりとしたお姉さんの眼差しが。 「いや、えと、さすがにうちの店の食べ物じゃないんで」 「もう、わかってるってばぁ」 「だから持ち帰るからさぁ」 「ケーキの箱ごと頂戴?」  思わず、その言葉に唖然とする。確かに箱ごと使ってもらえば、持って帰ることは出来るけど。二人分だけ入れておくのはバランスが悪い気がするんだけど。そうやって悩んでると、和田くんがケーキの箱ごと持ってきた。 「え、おいっ」 「いいじゃん、いいじゃん。どうせ、誰も食べないんだしぃ」 「おいおい、ちょっと」 「はい、どーん」  そう言ってお姉さんたちの目の前に置くと、箱の中を開けて見せた。
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