溶けていく

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蜂蜜の中にゆっくりと沈められていくようだと思った。 優しく意識が奪われて、柔らかに息が止まる。 そこに苦しさはない。 そしてただただ甘い夢を見る……。 あの人との夜を思い出すたびにじんわりと胸に広がる、これは何なのだろう。 少し心地のよい痛み、のようなもの。 恋でも愛でもなく、私の身体を包んでいく何か。 あぁ、わからない。 きっと私は今、蜂蜜の中にいるのだ。 これは甘い夢、なにも考えることなく優しく意識が奪われて、柔らかに息が止まることも怖くはない……。 このまま目覚めないこともまた、幸せなのかもしれない。
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