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「ほら、やってみな?」
「やってみなって言われても、すぐには……」
「いいから、構えて!」
「は、はい!」
彼女の怒鳴り声に驚いて、ハンマーを構えた。
空を見上げると、隕石から吹き出す煙で空は灰色に染まっる。
灰色の空をぶち抜くように、火の玉が顔を出し真っ直ぐ僕の方へ落ちる。
隕石を最後まで見ようと、無理矢理目を見開く。
早い――――スゴく早い。
しかも燃えてるし!
ていうか、あんなのに当たったら死んじゃうっ!?
「ごわいっ!」
足の力が抜けてハンマーを肩から降ろすと、隕石は頭に当たる。
サッカーボールよりも大きい塊が、僕のかぶるピスヘルメットをかすめて跳ねた。
ヘルメットにあった衝撃で攣って痛い。
そのまま尻もちをつくと、後ろで金属を叩くような音が響く。
アルミが跳弾をハンマーで打ち返して、また空へ押し戻す。
地面にへばりつく僕を見た彼女は「もう、いい」と、呆れてしまう。
「やっぱり、すぐには無理だよ」
「次、打てなかったら、ハンマーで頭をぶっ叩いて空まで飛ばすわよ?」
鉄球でピスヘルメットを小突く。
彼女は日差しを手でさえぎりながら、天を仰いだ。
「晴れたみたいね。よし! これで仕事は終わり」
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