第1章 手紙

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 こんなにも美しいものを、未だ観たことがなく、はじめてこの目に、焼きつけた高揚たること思いもよらず、目を閉じる事など私には到底できない。   淡い水 清々しい葉の薫り    指先でまわす蒼の精魂   返事を待つ手紙のように波が応える   繰り返し暖めてはまわす   燃え上がる炎 戦いの鐘 勝利の杯   曉のベール 食の祭典      眠りの森 聖なる粉雪   生の道のり 大地の誕生     掌にいくつもの語り部降り立つ   小さき声音   我に甘美与えし小さき者達        片手に収まる蒼と白の魂   時と時のつかの間   ふれあう 育み 慈しみ      我は問う    こんなにも熱く胸高鳴る気   幸を幸と奏でる未来      繰り返す退屈な宇宙(そら)   我思う    このままここで眺めていたい       我が友よ   我に授けてはくれないか   この場所を   友の放つ言葉   何も持たない私        我が友が囁く 静かなる傍観者   ならば私自身が糧となろう    『犠牲』・・・   慈愛だよ友よ   笑って逝くよ 友   お前は何も口にしない   最後まで寂しい   俺はお前の代わりに蒼き星に問う  『お返しは?』  
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