6人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
「ふざけんなよ!
なにが赤黒い蛆虫だ。そんな瞳を持っているからと言って悲劇のヒロインに成り下がるなよ。
俺はな、たとえそんな瞳をした姉さんでもな憧れを抱いてこうして一緒に他人の人誅にやってきては姉さんの背中を見てきたんだよ。
今更、なにを言ってるんだか。
俺はな、どんなけ姉さんが毎日、毎日、おなじ言葉をかけたからといって絶対に俺の夢は諦めねえぞ。
それになんだってんだ?!
手に赤黒い蛆虫が貪ってようが蠢いていようが姉さんにはなんの罪もないじゃないか。
罪があるのは姉さんをそんなふうにしてしまった親父だろう?!
だったら、そんな姉さんが己を責める必要なんてないじゃないか!!
そうだろう?
赤黒い蛆虫がどれほど醜くけがわらしくても俺は姉さんのことが好きで好きでしかたがないんだよ!
だから、強い人斬りになって姉さんを助けたいんだよ!!
それが悪いのかよ!?」
凄まじい剣幕で我を忘れたかのように大輔は姉に激しくまくしたてて言い放った。
姉の小町沙織は驚きはせず、無表情のまま弟の切なる願いの言葉を聞いていた。
最初のコメントを投稿しよう!