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激しく高鳴る鼓動が手から伝わり、小町沙織の意識を本格的に母性に似た感情を胸に抱かせた。
胸を触れられた小町大輔はおもわず眼を瞑っていた。ますます身体が緊張によって硬くなっていくのを感じていた。
そんな弟であった男を見る小町沙織は彼の胸を触れさせた手をはなれさせ、そのまま背中へながれさせた。
?に触れていた手は彼の唇へスライドさせ、悪戯した。
「や、やめろよ」
「だって可愛いから、つい」
「ついじゃねえよ」
「ごめんね、私も思ってたよりもあなたとこうゆう関係を持ちたかったみたい」
「だったら、遠慮なく抱きしめてよ」
「女の私からするの?」
「この流れならそうじゃないか?」
「そうかもね」
ほほくそっと小町沙織はえくぼを若干つくり笑ってみせた。
間近で見る小町沙織の両目に轟く稲妻のような刀傷はまるで火傷のように赤黒く酷いものなんだなっと再認識した小町大輔は反射的に彼女から視線をばれないように外していた。
「私の顔が怖い?」
「別に」
「嘘、視線を外したじゃない」
「外してねぇよ!」
「強がっちゃて可愛いわね、本当に」
「からかうなよ」
「からかってないわよ、本心からよ」
「それこそ嘘くせえよ」
負け惜しみな発言をした小町大輔の口を小町沙織の人差し指によって遮られた。
小町沙織は穏やかな表情をしていた。
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