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そんな姉の瞳をまっすぐは見ることは不可能だ。
普通の人間が直視なんかすると一瞬で身体の自由を奪われ、金縛り状態になるだろう。
だから、それなりに姉のもとで剣術を修行し日々鍛錬してきた弟さえも直視などできやしなかった。
それほど危険な瞳なのだ。
それからしばらくした後、例の居酒屋から数人の完全に酔いがまわり足許もふらふらな腰に日本刀を掲げた侍風情の男達が現れた。出てきた早々、吐いているものもいた。
まったく無警戒状態な男達は知らなかった。
この後、他人の恨み辛みを晴らされるがために斬殺されることを。
ふらふらな足で男たちは陽気な歌とか歌ったり、周囲に迷惑なほどの大声でお喋りをしたりしては色街から姿を消していった。
勿論、小町沙織、大輔は色街を行き交う男と花魁の隠れ蓑にして、あとを追いかける。
酔いどれ侍風情の男たちは色街から出て、人気のない川沿いの夜道へとやって来た。
そして、人斬りを商売にして出稼ぎに来た小町沙織、大輔も少し離れた後方からついて来ている。
小町沙織、大輔はあらかじめ、周囲を眼を凝らし見渡しては人がいないことを確認した。
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