血飛沫の開幕

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 瞬間、小町沙織が腰に掲げた日本刀の刀身を一気に鞘から引き抜いた同時に、侍風情の男たちとの距離を、まさにアメンボが水面移動するみたいに軽やかな足どりで縮こませ、男の一人の背中へ切っ先を触れさせた。 「あなたたちはここで死んでいただきます。私怨はありませんが、これも仕事のひとつなのでお許しを」  その言葉を終えた瞬間、切っ先を触れさせた男の背中に一閃の白銀の閃光が煌めいた。  途端、男の背中から夥しい血飛沫が噴射された。  小町沙織はまともに一刀両断させた男の大量の血飛沫を身体に浴びさせ、浄化な雨水と複合させた血の雨を浴びた。  斬り裂かれた男は半身がさきに地面に倒れ、残りの半身はあとに生命感なく単なる肉の塊として落とされた。 「き、貴様、何者だ!?」  意味もわからず不意打ちに仲間を斬り殺された侍風情の男たちは、さすが、腰に日本刀を掲げることもあって足許がふらつくほどの泥酔していても、身の危険によって酔いを冷ませたような厳しい顔つきと瞬時に移行させ、鞘から刀身を引き抜こうとした。  が、時は遅しで、残りの侍風情の男を魚を捌くように艶光る白銀の閃光が空を斬り裂く。  次の瞬間、残りの侍風情の男の首が月光に照らされた重々しい雲が重なる闇夜を背景に跳ね上がった。     
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