詩雑誌に投稿した作品です。

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詩雑誌に投稿した作品です。

この世で一番大切な人を傷つけないために 私は今日 嘘をつきました 一番大切な人が怖い夢を見ないように 私は今日 秘密を持ちました そうやって どんどん自分を偽って 仮面がいくつも増えていく それは(ある意味で) やさしさ 大人のやさしさ なのかもしれない (葉が、広がっていくようだ。私は植物の名を付けられた。植物は嘘をつけない。自分を偽れない、だから苦しい。きゅうきゅうと鳴った心が、ポトスの葉のように丸まったり開いたりを繰り返している、いつか私はオジギソウであったのかもしれない、すみません、すみません、目の前のものにいちいちおじぎをして。すみません、すみません) 秘密をずっとずっと抱えている やさしくなるのがこんなにも汚く、つらくなることなんて 知るんじゃなかった もっとやさしい人でありたい この世で一番大切な人は 私の出会った人の中で 一番やさしい
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