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嬉しくなった私もキスを仕返して、彼の真一文字だった唇がふにゃっとほころんだ。
気の抜けたような笑顔は、すごくすごくレアだったものだけど、私は近頃よく見る顔だ。私限定の顔なんだって思う。この限定は、誰にも譲る気は無い。
「さっきのキスはなんのキスだ?」
楽しげな彼に、人差し指を立てて勿体ぶった話し方で教えてあげた。
「おはようのキスだよ。
私はまだ貰ってないんだけど…」
そこで彼の目をじっと見たら、ふはっと笑ってから、さっきよりも長めのキスをくれた。
「おはよう」
「おはよう!今日も大好き!」
「俺も好きだよ」
「照れる!」
「キスは慣れたクセに」
「だってなかなか言わないから!」
「頻繁には言ってないけど、行動に込めてるだろ」
そうして今度は、深い深いキスをくれた。
熱くてちょっと苦しくて、とんでもなく幸せなこのキスは、愛してるのキスだ。
これが私の一等好きなキス。
そして彼の一等好きなキスでもあるのだ。
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