冬深く

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 自分とは違う顔のラインを興味深げに覗きこむ敦人の気配を感じたのか、遥希は寝返りを打って上を向き薄眼を開けた。暗さに目が慣れるまで眉根を寄せたまま視線を彷徨わせているのが無防備で(いら)いたくなってくる。しばらく待っていると斜め上に敦人の存在を認めて、腕で顔を隠してしまった。  腕を退けたらどんな表情をしてるのだろう、というのは純粋な好奇心からくる欲求じゃないことくらい自覚している。 「敦人、まだ起きてんの? 今何時?」  掠れた声の後、唾を飲む音が聞こえた。 「ん、二時過ぎ。もう寝る。ハル、もしかして喉渇いてる?」 「や、大丈夫。」  夜独特の静けさと遠くから聞こえる車や風の音。この地方で一番底冷えする時期の深夜の布団は冷たい。身体をすべりこませたけれどなかなか暖まらなくって腕や脚を擦っていると、隣で寝がえりを打つ気配がした。 「寒い? 大丈夫?」 「大丈夫じゃない、凍え死ぬ。」  隣から笑いを含んだ声。どことなく緊張しているように聞こえるのは敦人自身が意識しすぎてるだけだろうか。 「......こっち温かいけど、入る?」  とっさに理解できず予想していなかった言葉に心臓が走り出す。
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