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「待てよ、一緒にドラッグストア行こうよ。速攻行って、帰ってこよう。後で俺が雑炊作るから、一緒にくおう。」
「朝一で何買うの? 腹減るから行く前に食べようよ。」
「ローションとゴム、なかったら見つかるまではしごする。見つかるまで帰りませーん。」
「なんだよそのやる気。」
あきれ顔した遥希の頬が徐々に赤くなってゆくのを見て敦人は楽しそうに笑った。
「分かってるくせに。俺大人の階段上りたいんだけど。ハルと一緒に。」
無邪気に言ってのける敦人の笑顔を目に焼き付けて遥希は立ち上がる。
「シャワー借りるよ。」
「おう。」
敦人は鼻歌を歌いながら脱ぎ散らかした二人分のトレーナーを布団の下から引き出している。ああ、これ何の曲だっけ。
「なあ。」
バスルームの扉を開けたまま遥希が顔を出す。
「何?」
「僕もやり方がよく分からないから、調べといて。それでさ、まあ、どっちでもいいけど両方試してみたくはある。」
それだけ言って急いでドアを閉めた。トレーナーから頭を出した敦人が、扉の向こうでどんな表情をしているのか、見なくたって簡単に想像できる。
いつも通り笑ってるはずだ。
中学の時も、高校の時も、サッカー見に行った時も、球技大会もテスト勉強した時も。敦人は遥希に笑いかけてくれていた。
その笑顔を思い浮かべて遥希は「敵わないな。」と小さな声で言った。
完
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