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もう一度、今度は身体を起こして上から覆いかぶさるようにキスをする。遥希だって初めてだった。だから、したいように敦人と唇を重ねた。柔く吸い、ずらしてまた重ね、唇同士で捏ねるように食み、緩んだ隙間に自分の隙間を合わせ、ただ敦人のことだけを考えて没入してゆく。
舌を絡め、お互いに熱くなった身体を求めて服を引き剥がしあった。膝を曲げた敦人の足首から下着を引き抜くと、次は身体を支配したくなる。
掌で太腿の厚い筋肉をなぞってゆけば、重ねた唇の隙間からくぐもった熱い息が漏れ始める。湿りけを帯びた呼吸に合わせて積み上げられてゆく官能が強い占有欲を呼び起こす。
行き場の分からない二人の手が身体をかき抱き合う。もうゼロ距離なのに、まだ近づき足りなかった。
腹の間で屹立が蜜を垂らしながら睦み合い、熱量を高めてゆく。擦れあうたびにもっと刺激が欲しいと切なく脈動する。なのにそんな中で急に敦人が覆いかぶさっていた遥希の肩を押して身体の間に隙間を作った。
突然の拒絶に驚いて遥希は上半身を起こした。
(やっぱりいざとなるとダメなのかな。)
遥希は冷たい部屋の空気に身震いして毛布を肩に引き上げ、もう一度敦人の横に寝転んだ。
落ち着いて、相手を責めないこと。仕方ないんだから。生理的に嫌われたらもう友達にもなれないんだから。
「やっぱ、嫌?」
今止めるなら、もういっそ殺してほしい。強引に続ける? いやダメだ。違う、最初からキスなんてしなけりゃよかったんだ、泊まりに来なきゃよかったんだ。
葛藤する気持ちを押し殺しているうちに自分がどんな表情にしているのか気づいていなかった。
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