冬深く

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 浅いまどろみの中、記憶と夢がごちゃ混ぜになって身体を包んでいた。  限界だと言っていた敦人を口でいかせて、それから敦人の太腿を使って自分も満足したのだった。いや、素股をしたのは自分だったっけ? お互い我慢しなくてもいいとわかった瞬間、気持ちが満たされて……。 (すごい幸福感……)  だから遥希は自分に、これは夢だからと言い聞かせながらゆっくりと意識を浮上させたのだ。  脚を動かすと乾いた精液が皮膚を引っ張り、ああ、やっぱり夢じゃなかったのかと遥希は人ごとのように考えた。  背中にあたる感覚が家のベッドと違う。狭い布団の端っこで腕をはみ出させながら寝ていた。寝相が悪くて掛け布団を引っ張ってる敦人をしばらく見ていると、目を覚まして薄目を開けた。 「おはよう。」 「ん、起きてたのか。」  鷹揚にあくびしながら敦人がしっかりと目を開けた。やけに白っぽい朝の光の中で同じ布団に入っていると眩しさに戸惑ってしまう。  「あー」とも「うー」ともつかない声を出して眼を(しばた)かせていた敦人が、腕を伸ばしてスマホを取った。難しい顔をしながら画面に指を走らせて唸っている。 「今日用事あった? 僕そろそろ帰るよ。」  布団の外に失敗作みたいに丸められた下着を見つけ、遥希は足指で引っ掛けて引き寄せた。
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