冬深く

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 狭いこたつの中で体勢を変えるたびに足が当たるので、遥希は落ち着かなかった。久しぶりに一緒にいるとどうも意識してしまう。  遥希は鍋に集中する敦人をおいて立ち上がり、空いた器を洗い出した。学生向けの小さなキッチンスペースで洗ったものを一つづつ拭いては片づけながら敦人の様子を眺め、誰かと一緒に住むってこんな感じなのかなと想像した。  同じ大学に通っているけれど遥希は実家暮らしをしていた。兼業農家の家の台所はいつも祖母が取り仕切っていて、遥希はほとんど料理をしたことがなかった。そんな遥希の目からも、材料を全部一緒に入れて火をつけた敦人の家事経験値は自分と大して変わらなく見えた。 「敦人はいつも料理してるの? 調味料と食器がやけに充実してるのが謎なんだけど。」    正直、敦人が買いそうもないポップな柄の食器が混ざっていたから「彼女できたの?」と聞きたかった。でも肯定された時の精神的ダメージを考えると変に遠回しな質問になってしまう。 「あー、してるようなしてないような。皿洗ってくれてありがとう。それね、春に大学卒業した兄ちゃんが実家に戻ってきたんだけど、一人暮らしの時の皿とかを全部持って帰ってきたんだよ。それを勿体無いって母さんが取って置いてて、そのまま渡された。こたつも、この辺のも全部兄ちゃんのやつ。」
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