絶景と肌

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 アレックスはあえて警戒されないようにやさしげな態度で少女に言葉をかける。 「君はこの街の人なのかい?」 「そうよ、ずっとこの街にいるのよ」 「そうか。ならこの街のことはなんでも知っているってことか」 「なんでもってまではいかないけれど、そこらへんの旅行者にくらべたらこの街の知識とか裏事情のこともよく知っているつもりよ」 「なんで旅行者に盗みなんて働いたの?」 「そんな決まってるじゃん、生きていくためにはなんでもしないと!」 「両親は仕事についていないの?」 「仕事なんてあるわけないじゃん!私の肌を見てみなよ? こんな肌の色してるようでは仕事なんてこの街でさしてくれるわけないよ!!」 「綺麗な肌だね」 「は、は、はぁ!?、意味わかんねぇし、なにが綺麗なのよ、こんな緑の肌なんて・・・」  この国は白人社会。  だからどうしても緑の肌をした人間は不利な立場におかされてしまう。  仕事はもちろん、なんでもが白人が勝手にでっちあげつくった人種差別によって肩身の狭い生活を虐げられてしまうのがこの国の現状。  そんなシリアスな会話をしている最中、ある物と一緒にカラフルも胸に抱き寄せたエレナは興奮が冷めない様子で、あちらこちらと移動しては空高く見おろす街並みの景色に明るい声をあげていた。       
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