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それはさておき、エレナという十三歳になったばかりの少女が向かっているのはガイドブックに載っていたイチオシのカフェだった。
街の情報が載せられたガイドブックは、訳ありで長期滞在していた前の街で購入していた。大好きなカフェ巡りをするためにガイドブックの地図と目をつけていたカフェの記事を切り抜いては、最短コースを歩き、街の中心にある広場にエレナは来ていた。もちろんひとりである。
相方の人間は雑用の用事を仮の住居で行なっていることだろう。
少女も本来はその雑用を手伝わないといけないのだが、少女はお姫様性分なのでメインの仕事以外は御法度らしい。
広場の中心にエレナは足を揃え、360度、足の向きを徐々に変えてゆき中心街の景色を見渡していた。自然に爽やかな明るい声がでる。
「すごーい、綺麗な街だね!」
「そうか、拙者は前の街のほうが好きだけどね。それに故郷の街のほうがよほど拙者は綺麗だとおもうけどね」
捻くれた口ぶりで、頭に座る色彩豊かな猫のカラフルが、エレナの発言に水をさす。
「たしかに故郷の街よりかは劣るけれど、この街もなかなか綺麗だとおもうけどな~」
カラフルの発言に不満そうな様子でエレナは首をやや傾げる。
「それより、イチオシのカフェはどこなんだ。はやく拙者はひと休をしたいのだぞ?」
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