禁断のエレナの優雅な戦い

泥棒少女

　広場に戻ってきた早々、荷物持ちのアレックスのに相変わらず元気な様子で教会の横にある塔を指差し、「あの塔に登りたい」と言いだした。

　もちろんアレックスはあからさまに疲労感たっぷりの顔で塔を見上げ、あからさまに嫌がる。が、無邪気なエレナ嬢は、誰も行くっと発言したいのにさっそく塔へ駆けだした途端、

「きゃあ、！」

　ちいさな悲鳴があがった。

　偶然にも横から走ってきた女の子がエレナとぶつかってしまった。

「おい、待てこの泥棒娘！！」

　怒り心頭の血相でふたりのカップルの旅行者がエレナにぶつかってきた女の子を追いかけてきては、とっ捕まえてみせた。

　状況がうまいこと飲み込めずにいるエレナと荷物持ちのアレックスとカラフルは眼を・・・・とさせている。

「どうしたんですか、その女の子がなにかしたのですか？」

　興奮したカップルの旅行者をなだめるようにアレックスはできる限りの愛想笑いを浮かべ、彼等に近づいた。ら、女の子はささっとアレックスの背後にまわり、敵対心むきだしの目つきでカップルの旅行者の若い男女に睨む。

　そんな女の子の様子を観察していたエレナは直感する。

　はは～ん、この子は盗みを働いたなっとね。