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A「士官学校なんて、君も大概、思い切ったことをするよねえ」
彼女はそう言って、先ほど屋台で買ったホットドッグにかぶりついた。薄っすらと積もった雪をざくざくと踏みしめながら、彼女の後を追う。
B「思い切ったことって……僕だって、男だ。やる時はやるよ」
A「それにしてもその帽子とゴーグル、似合わないね」
B「うるさいな」
帽子は入隊した時に学校からもらったものである。無難な配色で気に入っているのだが、どうにも周りの受けはよくなかった。
B「結構あったかいんだよ、これ」
A「昔の兵隊さんみたい」
B「特攻帽って言いたいのか」
昔の日本軍にはそんなものもあったと、教科書で見たことがある。写真で見た彼らも同じような帽子をかぶっていた記憶がある。
彼女はホットドッグの最後のかけらを口の中に放り込んだ。
A「頑張ってるんだね」
そう言われて、自然と誇らしい気持ちになる。
B「……まあ、国のためだから」
A「いざって時は、やっぱり行くの?」
B「そう、なるのかな。上官の命令に従う形ではあるけれど」
A「大丈夫だよ」
彼女は少し微笑んで、僕に向き直った。
A「君にそんな勇気ないの、知ってるから」
B「……うるさいな」
木に積もった雪が地面に落ちてくる。背中を押してくる風に、少し駆け足になった。
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