その男、ロベルタ

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翌朝。 ロベルタが目を覚ますと、赤毛の男の顔を見て目を丸くして飛び起きた。 赤毛の男「あ、目を覚ましたね。」 ロベルタ「え?あんたは……って、ココは!?」 赤毛の男「ココ?マルサーガ。」 ロベルタ「え?マルサーガってヘレズーロの拠点だろ!」 赤毛の男「そう。君のことはヘルメスから聞いたよ。土壇場のところで悪魔と契約して力を手に入れたみたいだね。ドミナじゃ敵同然だけど、マルサーガなら同士と考えていいよ。」 ロベルタ「マジかよ。」 赤毛の男「紹介が遅れたね。僕はアドニス・マンダリーナ。よろしくね。」 ロベルタ「別に俺はギャングになったワケじゃない。」 アドニス「つれないねぇ。まぁ無理もないか。いきなり悪魔と契約して力を手に入れることになったらしいからね。」 ロベルタ「そろそろ俺、カネを受け取って帰らねぇと。」 アドニス「やめといた方がいいよ。護衛料を受け取ってドミナに帰るより、ココにいた方が安全だから。」 ロベルタ「え?」 アドニス「昨日君が護衛した少女、いたでしょ?彼女はメアリー・ブリザール。」 ロベルタ「メアリーが、何だって?」 アドニス「彼女の母親はベルニス・ブリザール。つまり、ヘレズーロのボスの娘。」 それを聞いたロベルタは目を丸くした。 ロベルタ「まさか賞金首にされていたのはそのためか!?」 アドニス「そう、正解。ドミナのヘレズーロ以外のチンピラにとっては格好の賞金首。なのに昨日、お祭りがあるからって理由でお忍びでドミナに行っちゃったワケ。」 ロベルタ「そう言えば、メアリーは魔法を使っていた。悪魔と契約して手にした力か?」 アドニス「ボスは魔女だから、メアリーも魔女になったようなものだよ。まぁ、魔法が使える人は天使か悪魔のどちらかと契約していると考えた方が妥当だね。で。」 ロベルタ「?」 アドニス「名前、教えて。」 ロベルタ「……ロベルタ・ペルツォフ。」
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