帝都の社長

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帝都の社長

 思い切って僕は帝都制作に応募してみた。すると、翌日にはメールで「お電話したのですが繋がらなかったのでメールにて失礼します。社長の嶋村です。是非お会いしたいので来れる日を返信してください。」と、送られてきた。対応の速さには驚いた。僕は、思い切って返信をした。「電話に出れずに申し訳ありませんでした。明日の、午後はどうでしょうか?」こうして僕は、明日会社に行くことになった。  僕は、会社付近の最寄り駅に着き、トイレで身だしなみを整え、約束より1時間前に会社の場所を確かめ、最寄り駅のスーパーの、休憩スペースで休んでいた。もちろん、今月のお小遣いは競馬でスッてしまった。電車賃は親戚のおじさんつまりは、大家さんから借りたのだった。  両親は、僕が23歳の時に僕を追い出した。働け!と言わんばかりに…それ以来両親には会っていない。何故僕は、ここまでダメな人間になってしまったのかと、常日頃悩ませてしまっていた。  スーパーで休むのはいいが、ここのスーパーはどうやらフリーWi-Fiが無いらしい。都内なのに珍しい。  スマホの時計を見ると約束の20分前。  「そろそろ、行くとするか。」  椅子から腰を浮かせた瞬間、ゾゾッとした。そう。踏ん張った時に、脱糞をしてしまったのだ!幸いそこはスーパー。トイレはすぐ近くにある。更にラッキーな事に、近くに衣料品売り場も兼ね備えていた。慌ててパンツを買い、トイレへ駆け込んだ。この時すでに約束の時間15分前。  処理を素早く済ませ、買ったパンツを入れていた袋に漏らしたパンツを入れて慌てて捨て、香水を買い、スーツの上からお尻重点にかけた。そして、走った。  冬の外は10℃より少し高いように思えた。小太り気味の僕は走ればもちろん汗は出る。あの珍事さえなければ走らず汗も欠かず済んだはず。しかし、起きてしまったことは仕方ない。汗は欠いたものの、約束の5分前。  会社のビルに入りエレベーターで6階へ。降りて右側の入り口を入り受付の女性に面接に来たと伝える。すると、一度部屋から出て、エレベーター降りて左側の部屋へ行くよう促された。  部屋で待つこと10分。一人の男性が入って来た。見た目は僕と同い年ぐらいに思えた。  「社長の嶋村です。」  そう言って彼は、僕に名刺を出してきた。その名刺には嶋村智章(しまむらともあき)24歳と書かれていた。「僕より…年下。」
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