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──あーあ、結局隣になれなかった。
「俺の隣は橋本か……よろしくな!」
美羽と、私の好きな人が隣の席になった。なってしまった。
「えーあんたと?やだー」
──嘘ばっかり。
美羽の嬉しそうな笑顔は、少しも嫌がっていない癖に。
嫉妬が私を埋め尽くしそうで、恐ろしかった。
軽くため息を吐くと、楽しそうな二人から目を反らした。
*
最後の席替えだから、皆浮き足立っていた。それは、もちろん私だって。
もしかしたら、あいつと隣の席になれるかも…なんて言う淡い期待だって、抱くんだ。
それなのに、親友の美羽とまた隣の席になっていた。どうして美羽ばっかり。
こんな事を考える自分が、何よりも嫌だ。
「ねー、あいつ美羽ちゃんと隣の席になっちゃったねー」
親友の琴音が、私に笑いかけてきた。
「うん」
頷きながら、モヤモヤが募っていくのを感じた。嫌だなあ、これからの1ヶ月間。
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