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私は深呼吸をして、妻の手を握った。いつも家庭を切り盛りして頑張っているその手は、所々、手荒れが見られた。
「私は幸せ者だ。こうやって、君と一緒にいられるだけで、本当に幸せなんだ」
上手い言葉を言いたくとも、私には、それを考える余裕はない。だから、これだけはわかっていて欲しい。
「いつもありがとう」
ホワイトデーだとか、国際女性デーだとか、本当はどうでもよかったんだ。少しでも君に、ありがとうのお返しをしたいだけなんだ。
私たちは互いに笑い合った。ここはイタリアではないけれど、日本でも、愛を謳うことは出来る。
「ねえ、どうやって作ったの?」
「……秘密だ」
「ええ、教えてよー!」
「そうだな。まあそのうち、な」
「早く私にも教えてよー」
「やっぱり教えない」
「どうしてよ?」
理由は簡単だ。
"毎年、私が君に特別なミモザを贈るから。だから、これからも元気で私の隣にいてくれよ"
この想いをそっと胸に。妻がくれる愛を、私も贈りたい。それでも私の心の奥を読んだように君は言った。
「じゃあ私は毎日、美味しい食事を作ってお返しするわね」
悪戯っぽく笑う君に、愛しさが込み上げた。この地で君と出会い、家族になり家庭を築くことが出来て本当に幸せなんだ。
「次の休みは、久々に海でも眺めに行こうか。子供たちもドライブに行きたいだろうし。その後でハンドクリームも買いに行こう。いつも頑張ってくれてありがとう。本当に本当に、ありがとう」
君がくれる全ての愛に、沢山の愛と感謝を込めて。いつまでも君に恋をしてる私から伝える精一杯の思いを。
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