君に贈る花束

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「素直に、寂しいって言えばいいじゃない」 「……花音さん花音さん、それ以上痛いところを突かないで」  ぱっちりとした目が俺を捕らえた。学生時代には気が付かなかった。目配せ一つさえ、艶っぽい。 「私といるのに海のことばっかり。折角久々に日本でのんびり出来ているのに。女性の扱いを少しは心得て欲しいものね」  正直、交際経験どころか、恋愛をしたことがなかった。けれども、見栄を張らざるにはいられないのが男というもの。 「こ、これでも女性の扱いには長けてる方だと思うけど?」 「へぇ。そう」 「な、何だよ」 「別に。大人だもの。私と付き合う前にもいたのでしょうし? 私もだけど」 「私もって?」 「私、今告白されてるの」 「……へ?」  好敵手のことなど忘れるくらいの衝撃だった。     
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