君に贈る花束

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 近所のスーパーは、小さいながらも品揃えが良く、大特価セールもあって賑わっていた。  スーパーの隅でひっそり佇む花屋の前には、スーツを来た男性が数人、行き来していた。 「ミモザ?」  大きなポスターには、ミモザ予約承ります、と書かれていた。 「ほう。花はよく知らんが、何だか春らしい綺麗な花だな」  大きなポスターの背景がミモザの花らしい。花粉を大きくした様な、黄色く丸みを帯びた小さな花が密集し、春を歌っている様だった。  大きなポスターには何やら説明が書かれていた。 "三月八日は国際女性デー きっかけは一九〇四年、ニューヨークで起こったデモに由来しています。ニューヨークの女性労働者が女性の参政権を要求したのです。一九一〇年には、コペンハーゲンで行われた会議の中で、女性平等の流れを汲んだ記念日を作ることが提唱されました。これに多くの国が賛同しました(日付については諸説あります) イタリアには、この国際女性デーにミモザの花を贈る習慣があります。第二次世界大戦後、女性の日にふさわしい花を思案したところ、イタリア国内に身近に根付くミモザの花を贈ろうとなったのです。幸せの黄色い花で愛を謳うのです。恋人、家族、同僚、お世話になっている全ての女性に、男性が贈ります。     
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