君に贈る花束

4/22
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
ここはイタリアではなく日本ですが、普段伝えられない思いを、今こそ伝えませんか?"  三月八日。バレンタインデーのお返しは三月十四日。さて、どうしたものか。 「ご予約ですかあ?」 「あ、いや、その」  不意に掛けられた声に、戸惑わずにはいられなかった。店員の男性は、にやりと笑いこちらを見ている。 「お客様。ミモザは花を見るだけでなく、食べることも出来るんですよー!」 「何だって? 花を食べるのか?」 「ふふ。まあ、実際花は食べられませんけど」 「ど、どういうことだ?」 「それはですね……」  家に帰宅すると、遅くなったから、心配そうな表情の妻が立っていた。私は笑い、心配そうな表情の妻をよそに、気分が高揚していた。       
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!