君に贈る花束

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「あれ。部長。どうしたんですか?」 「え?」 「あ、いや。部長が鼻歌を歌うなんて初めてですので」 「そうだったか?」  私は驚かれてしまうくらいに浮かれているらしい。  それほどに、今の私はやる気に満ちているということだろう。 「部長! 俺たち、いつもお世話になってるんで、俺たちで手作りしました!」 「昨日の夜集まって作ったんです!」 「奥さんや娘さん息子さんから無下にされる、と宴会で仰っていたので!」 「本当にいつもお世話になってるんで! 生チョコケーキっす!」  むさい男ばかりの職場だが、こういう気概の青年たちがいることは、まだまだ日本も捨てたものではないだろう。と言っても、さほども歳は離れていないのだが。 「ありがとう、ありがとう。バレンタインの時も皆ありがとうな。やっぱり、いくつになっても、こういうものは楽しいし嬉しいもんだよ、うん」  思わず顔が綻んだ。     
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