始まりは……

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―――ガチャ―――― 黒木      「……蓮くん、おまたせ………。」 蓮       「…………あ"ぁ"………………。」 黒木      「………何?……その変な声………。セミの抜け殻みたいなカサカサな感じ………。」 蓮       「…………い"や"…………飲み物……。」 黒木      「……はい。」 黒木が手渡したくれた冷たいコップに手を伸ばして受け取ろうとした。 黒木の手に触れた時に、変な場面が頭に過った。 暑い夏に、蒸し暑い部屋に、息づかいが荒く、変にべったりする身体。 吸い付くような汗のにおい。 黒木の声。 黒木の白い肌。 黒木の瞳。 もがいて、しがみついて、甘い声に、潤む瞳。 冷たい黒木の体温が、俺の暑すぎる身体を冷やして。 求めろよ。 今すぐ。 「欲しい」って言って。 ―――ばちゃん―――― 蓮       「…あ………」 黒木      「待ってね。今タオル持ってくる。」 ――――バタン―――― ………こぼした…………。 ……手が滑ったんじゃない………。 ……夏のせいだ………………。 ………暑さのせいだ……………。 …………幻覚だ………………。 絶っっっっっっっ対ぃぃぃぃぃぃありえない!!!!
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