酷暑の夏

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 こんな酷暑になってくると、本当に身の危険を感じますよね。ええ、熱中症対策は勿論気を付けてますよ。朝からエアコン回しっぱなしで水がぶがぶ飲んでね。それでもね、自分の家でも、ずっと日光にさらされてるような所をうっかり手で触れると、火傷しそうになることありません?ありますよね。玄関のドアノブとかベランダの手すりとかね。ああいう屋外で金属の所って物凄い熱になってますでしょ。うっかり素手で触れると、「あちっ!」と叫んで飛び上がっちゃいますよね。本当に、あれは気を付けないと絶対に火傷します。私の親戚の家なんか、去年、室内に保管していた金属が溶けちゃいましたからね。えっ?いくらなんでもそりゃないだろう?いえいえ、本当なんですよ。おおげさじゃありません。本当に溶けてたんです。  去年の五月に私の父方の祖父が亡くなりましてね、ああ、どうも恐れ入ります。でもまあ、90まで生きましたから、天寿は十分に全うしたと思います。亡くなる時も家族や親族に看取られながら、安らかに眠るように逝きましたから、まあ、大往生と言っていいでしょう。  で、その八月に初盆ということで、親戚一同、埼玉の祖父の家に集まりました。まあ、初盆というセレモニーもさることながら、残された祖母を見舞い、励ますという趣旨が主だったんですけどね。因みに祖母は今も健在です。その時は、まだ漸く四十九日が終わって暫くした頃でしたから、流石に消沈した感じでしたけど、おかげさまで今ではすっかり元気になって色んな所に出歩いてますよ。  祖父の家に行くのは久しぶりでした。私は初孫ということもあって、昔から祖父母には可愛がってもらっていたんです。生前、何度か祖父の部屋に入れてもらったこともあります。それが何となく懐かしくなった私は、ふと祖父の部屋に入ってみました。まだ亡くなって三か月でしたから、祖母も気持ちの整理がつかず、祖父の部屋には一切手をつけていませんでした。     
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