酷暑の夏

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「何だろう?」興味を覚えた私はそれを摘まみ上げてみました。重さは殆ど感じられず、とても軽いものでした。一方、土くれのように見えながら、それは結構硬い感じのするものでした。色は黒っぽい灰色というか、いぶし銀をもう少し黒っぽくしたというか……銀色を基調にして、その表面に後から黒い炭のような顔料を混ぜたような感じでした。その硬さと風合いから、これはもともと銀色だった何かの金属……アルミニウムみたいなものが高温で溶けたものじゃないかな…… そんなことを考えながらしげしげと眺めているうちに、突然思い出しました。まだ小学生だったころ、祖父の部屋で遊んでもらっていた私は、その机の引き出しの中に、一枚の見慣れない硬貨を見つけて、「これなあに?」と聞いたのです。     
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