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「あんまり遠くに行かないでください。見張り役になった僕の身にもなってくださいよ!」
「大丈夫!領地の外には行かないわ!」
彼女は青年をおいてけぼりにして、スイスイと街中を闊歩してゆく。
ふいと横目でカフェを見かけるや、すぐにバケットを買い、
「私これが食べてみたかったの!すごく美味しいのね!宮中の晩餐会で出されるどんな食べ物よりも美味しいわ!」
と幸せそうにバケットを頬張った。
「それは僕への当てつけですか!」
城の料理人兼お目付け役の青年は、少し苦虫を噛み潰した。
「そんなことないわ。でも国民皆がこんなに美味しいパンを食べられていることがわかって、私とても幸せな気分なの」
彼女は、青年に笑いかけた。
その後も、お姫様とお目付け役一行は、お忍びで城下町のグルメ散策を楽しんだ。
国民が飢餓や貧困に苦しんでいないか。王女はたまにこうして城下町に繰り出し、休日を過ごしている。
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