第一章 卒業前日、最後の日。

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それから……結局部活が始まる時間まで部室に入り浸ってしまった俺と雄輔は、そのまま後輩たちの部活に参加し、最後に先生に挨拶をして校舎を後にした。 校門前。自転車に跨る雄輔と、校門前に立つ俺。 三月になったとはいえまだ依然として寒さは険しいが、若干日は長くなったように感じるな。 「明日はどうする?いつも通りバス電車で来るのか?」 「いや、明日は俺もチャリで来るよ。多分帰りにクラスでなんかあるだろうし、小回りがきいたほうがいいだろ」 明日はなんたって卒業式。 部室に入り浸るのはほどほどにして、クラスのイベントに混ざる予定だ。 「おう、了解した。んじゃまた明日な、お疲れ亮」 「おう、お疲れ~」 雄輔の後ろ姿が見えなくなるまで見送ると、俺はバス停へと振り返る。 その途中、校門に「月が平商工高等学校」と彫られた刻印が目に入った。 そういえば、入学式の日にここで写真撮ったっけ。 右も左もわからずに、不安ばっかの状態で……もう懐かしいな。 「ここの生徒としてここを通るのも、もう明日が最後なんだな」 もう明日が卒業式ともなると、こういうふとした小さなこともえらくしみじみと感じてしまうものだ。 「って、バス来たか……俺も帰ろう」 次から次へと浮かんでは消えていく過去の思い出や景色をいったんしまい込んで、俺はやってきたバスへと乗車した。
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