第一章 卒業前日、最後の日。

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季節は春。 まだまだ肌寒さの残るこの季節は、桜が満開になる少し前。 高校三年生の俺たちの教室はもうどこもかしこも卒業ムードで、どことなく日常離れした雰囲気を感じる、そんな朝である。 三年生はもう仮卒の時期に入っており、今日は卒業式の練習のための久々の登校だ。 もう翌日は卒業式を控えている。 仮卒期間は夏休みと同じか多少短いくらいには長く、わりかしだらけがちになってしまうのだが休みの間何もせず退屈にしていたわけではなく、俺は自動車学校とアルバイトを並行して通う多忙な日々を送っているところだ。 山崎亮、18歳。 月が平商工高等学校ワープロ部、元部長。 ワープロ競技、全国大会個人二位。 もうすぐ高校を卒業し、この春からは大学生となる。 おっと、あそこにいるのは…っと。 バスを降りると、校舎玄関横に寄りかかる人影が見えた。 「うっす、おはよう亮」 「おう、久しぶりだな雄輔」 「つっても二週間ぶりくらいだけどな」 校舎玄関で俺を待っていたのは、同じワープロ部に所属して活動を共にした戦友であり親友、 鈴野雄輔、18歳。 ワープロ部、元副部長。 ワープロ競技、全国大会個人三位。
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