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「亮、バイトの調子はどうだ?慣れない肉体労働はなかなか堪えるだろ」
「いやいや、そうでもないぞ。今は一緒に働いてる大学生の人たちともうまくやってるさ」
俺のバイトは教科書や教材などを取り扱い蔵書整理や分配、そして実際に販売などを行うバイトだ。
毎年この時期になると、高校のみならず近隣の大学などから有志を集めて行う短期間バイトで、大学も決まり後は卒業するだけの暇人となっていた俺は、募集を訊いて自ら参加を名乗り出たのだ。
「今日って他の学年は普通に授業やってるんだっけ?」
「見た感じそうっぽいけどな」
教室に入った俺と雄輔は、そのまま流れるように教室を出た。
おそらく、部室にはもう何人か部員が集まっているだろう。
俺と雄輔は引退した今でも、なんとなくあの部室の居心地の良さが忘れられず、暇さえあれば部室に足を運ぶ日々を送っていた。
朝の少ない空き時間も自然と足が部室へ向かってしまうあたりもうすっかりここの住民になってしまった俺たちだが、そんな日々とももうすぐお別れだ。
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