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「おはよ~」
「あ、先輩!おはようございます!」
雄輔、裕とともに部室にやってくると、そこではもうすでに一人の後輩が到着していて練習を行っていた。
彼女は「春山朱莉(はるやまあかり)」さん。
最初の頃はその引っ込み思案な性格もあってかなり心配な子だったのだが、全国大会を終えてからの日々のひたむきで実直な練習の甲斐もあり、今では一年生の中では最も強い選手へと成長した頼れる後輩であり……
「よっ、久しぶり朱莉」
雄輔が手を上げる。
「久しぶり、って、一昨日会ったじゃないですか!」
「あれ?一昨日だったかな、昨日だった気もするな」
「何言ってるんですか、もう……」
若干恥ずかしそうに顔を赤らめながら春山さんが笑った。
春山さんと雄輔は、いわゆる恋人同士である。
告白をしてきたのは確か春山さんのほうからで、それから紆余曲折あって夏頃くらいから今の関係に至ったのだ。
「相変わらずお熱いな、雄輔」
「いやいや、お前と上永には負けるよ」
最初こそ自重していたのかもしれないが、最近は雄輔からよく惚気話を聞かされることが多くなった。あまり悪い気はしていないし、雄輔が楽しそうにしているなら俺としても満足だ。
「うっへー、なんでこんな朝っぱらからリア充空間に巻き込まれてるんだ俺は……さっさと練習はじめよっと」
裕はそんな微妙に色っぽい空気から逃げ去るように、準備室へと引っ込んでいった。
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