第一章 卒業前日、最後の日。

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それこそが、俺の一番大切な人……「上永 瞳(かみなが ひとみ)」。 俺が二年生の時……当時の俺の先輩が卒業して、ワープロ部に俺一人が取り残されてしまった翌年、新入生として入部してきたのが瞳だった。 当時人間不信(というよりも女性恐怖症気味?)だった俺は最初からやたら親しく接してくる瞳を少し苦手に感じていたが、それも初めの頃だけだった。 瞳の人当たりのいい性格も相まって、俺はすぐに瞳と打ち解けて……そして俺は瞳に恋をしたのだ。かなり長い間片想い期間が続いたが、瞳がアメリカへ引っ越してしまうと打ち明けられた時……俺は溜め込んだ気持ちを瞳に伝えたのだ。 そして、そこでようやく俺と瞳は恋人同士となったのだが、もうそこから俺たち二人に残された時間はほとんどないも同然だった。 だがしかし、それでも俺と瞳は二人でワープロ部の練習を頑張り続けた。 雄輔が入部したのも確かこのあたり(俺が無理やり誘ったんだが)で、三人で全力で練習して西日本大会で優勝という結果を残すのに至ったのだ。 その時に、瞳をよく知る後輩と出会い(厳密に言うとその後輩とも初対面ではなかったのだが)、なんと瞳は俺が瞳を知るもっと前から俺のことを知っていたことを初めて知らされた。 瞳が最初から近い距離で接してきたのは、このあたりが理由とのことだった。 俺がそのことを知ったことは、この時は瞳には言わずじまいだったが。
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