第一章 卒業前日、最後の日。

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眠い目をこすりながら卒業式の練習を終えた俺たちは、そのまま午前中に下校となった。 とはいえ、さすがにまだ帰るには早すぎるということもあり俺と雄輔は授業中で誰もいない部室へと再び転がり込み、なんとなくぼーっと過ごしていた。 さすがに二人しかいないこともあり、いつも賑わっている部室も今はとても静かだ。 「もう本当に明日で終わりなんだな、ここに来るの」 定位置に座る雄輔が、椅子に座りくるくる回りながらしみじみと言った。 「そうだな。……二年生の頃は、いつまでこんな生活続けるんだろとか言ってたのがもう懐かしく感じる」 瞳と出会う以前の俺は部活に対する意欲もなくて、本当にただなんとなく茫然と時間を潰すだけの毎日を送っていたからな……まさかこんなに今この部室に愛着を持っているなんて、当時の俺からしたら想像もできなかったことだろう。 「……なあ亮。この前聞いた話だと、上永は入部したばっかりの頃から、実は亮のことを知ってたって話だったっけ?」 「ああ、そうだな」 その事実を初めて知らされた時はそれは驚いたってもんだ。今でも思い出せる。 俺が小学生の時になんとなく助けた女の子が、実は瞳だったなんて思いもしなかったものだ。 「それが何だ?」 …少し間があった。
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