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仏壇の前に手を合わせた。ナナも私の隣で手を合わせる。
『ハルのお母さんのこと、知らなかった。ごめん』
「いいよ。手紙にも書いたけど、やっぱり読んでなかったんだな」
私は何度も手紙をナナに送った。最初は返事の手紙が届いたのに、1年も経たないうちに返信が無くなった。きっと忙しかったんだと思っていた。
せめて内容は読んでくれていると思っていたこともあり、かなりショックだった。
『手紙?最初の頃はよく送ってくれていたよね?最近は無いけど…』
「いや、ずっと送ってたよ。欠かさずずっと」
『ごめんなさい。本当に届いてなかったの。信じてもらえないかもしれないけど』
ナナの表情は本当に驚いて、そしてまたあの哀しい顔だった。今のナナが嘘をついているとは思えない。何かあるのだろうか。
「分かった、信じる!今まで送り続けた手紙はどこに消えたんだろ?住所を間違えたわけでもないし」
『家に帰ったら、お母さんに確認してみるね』
「うん、お願い」
今日は日が暮れるまでたくさんナナと話をした。とっても幸せな時間だった。あっという間に帰る時間になった。
「これからも遊びに来て!私、友達作るのが下手でナナしか友達がいないんだ」
『気持ちは遊びに来たい。けど、話せない事情がある。ごめん』
「いいよ、また遊ぼうね」
そう言って私たちは別れた。
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